僕が普段やっている漫画の描き方を紹介しようと思います。こういったやり方もあるんだと思ってもらえたら幸いです。自分を見つめ直すことと、これから漫画を描こうとしている人のきっかけなどになればなぁと思います。
僕の漫画BORDERLINEを例に紹介していきます。
アイデアから漫画を考える
描こう、描きたいと思っているものをアイデアから抜粋。これは基本的に日々メモしているものになります。個人的に漫画はいきなりできるものではなく、アイデアをきっかけに毎日少しずつ考えながら固まっていくという感じ。
BORDERLINEを例にすると、特殊清掃で殺人事件の死体処理をするというのが最初の構想でした。
プロットとキャラ設定
アイデアに沿ったストーリーラインをざっくり考えてプロットにして、キャラクターを考えながら同時並行でストーリーラインを作っていきます。
初期プロット
(メモしていたものは紛失してしまっていたので写真で撮れず・・・)
テキストや手書きでざっくりしたストーリーの流れをプロットとして書いていきます。この段階では場面やシーンといったものを考えていくのがメイン。この時、手遊びでキャラクターを描いたりもしますw
- 特殊清掃の仕事
- キャラクターの説明、主人公は妹が死んでて生きているものに触れない
- 廃病院での死体解体
- 少女が生きていて助ける
最初に考えていたのは確かこの程度でした。ラストなどは明確に決まってなくて、少女を助けるところがミッドポイントというくらいの考え。
アイデアカードで構成を練る

それなりに道筋ができたら、単語カードみたいなアイデアカードというものに物語のポイントとなる出来事やシーンをそれぞれ書いてピックアップしていきます。ストーリー全体の構成だけでなくシーンを細分化します。これらをボクの場合はホワイトボードに磁石で貼り付けて眺めて考えます。
物語の流れはこれでいいのか、順番を入れ替えた方がいいのか、余計だから削ってしまおう、ここを付け加えてみよう、同じことが繰り返されているからまとめてしまおう、この流れだと盛り上がりに欠ける、といったことをチェックしていきます。
このアイデアカードは、基本的にプロットの作業と平行しながら作ったり修正していきます。個人的に未完成で全然かまわないと思ってます。ただの物語のポイントを書いた指標でしかないですしね。思考が整理されますし、カードを動かして場面を入れ替えれるのが便利です。
キャラクターの設定

漫画に登場するキャラクターを考えます。
- 主人公の藤堂
- 上司の赤沼
- 妹の真緒
- 助けられる少女
キャラ作りの履歴書を使ってそれぞれ決めていきます。過去や思想などが決まってくるとストーリーの道筋が結構見えてきます。実はもう一人赤沼に部下がいたという設定があったのですが、ストーリーにおいて蛇足になるので削りました。こういった調整もプロットやキャラ設定の段階でやっていきます。
情報収集

ある程度の道筋が浮かび上がってきたら、これから描こうとしている漫画に必要な知識や情報を調べて集めていきます。
僕はWeb検索と本がメインになります。ドキュメンタリー番組や似た設定やテーマの映画&漫画を見たりとかもあります。Webの情報はプリンターでプリントして必要な部分を蛍光ペンで抜粋、本も同じように何度読んでもすぐに必要だと思った情報には蛍光ペンやページに付箋を貼ったりして印をつけています。
専門知識とかそういったものを設定として書き出し、プロットに組み込む準備をします。
ちなみにBORDERLINEに関しては特殊清掃の部分をちょろっと調べただけ・・・。序盤にしかないので掴み程度で済ませてしまいました。
セリフを含めたプロットの作成

初期プロットとキャラ設定を参考にさらに細かいプロットを書いていきます。僕はこの段階で情景だけでなくセリフも入力していきます。とにかく徹底して細かく書くようにしてます。
僕は必ずパソコンで入力したものをプリントしています。ミニネームやネームの段階ではアナログの方が役立つのでそうしてます。アナログのいいところはやはり手元にすぐあるためパッといじれるところですね。あと、思いついたものは全て書くようにしてます。
そしてセリフには番号を振り、次に行うミニネームで書くのを省きすぐ確認できるようにしてます。セリフ何回も書くのが一番時間かかるので・・・。
ミニネームの作成

ネームに入る前に作るのがミニネーム。正確にはそんな名前じゃないのかもしれないけどそう呼ばれてます。他人が見たら意味不明すぎる暗号に感じると思いますw
ここのミニネームでも思いついたものを全部書いていきます。
1コマずつ描きセリフに番号を割り振る

プロットを参考にコマごとの構図を描いていきます。この時にプロットに書いたセリフが役立つわけで、僕はこれに番号を振ってどのコマに入れるかを決めています。情景もプロットに描いておくのは構図を考えるのに役立つからです。
この時、コマの絵を考えながら違ったセリフなどを思いついたら修正していきます。アナログだとサッとできて便利。
この状態は自分にしかわからないと思いますwたぶん多くの人は何描いてあるかわからないかと・・・。
コマを作ったらパズルのようにコマ割り
構図やコマができたら、そのコマたちを組み合わせてページに当てはめてコマ割りを作っていきます。コマを考える段階で、ある程度コマ割りやページ割り振りを視野に入れながら考えておくのがポイントですね。
ここで削るという作業になります。いままで思いついたものを全て書き出していましたが、コマの割り振りを考えながら、不要だと思うもの、ページに収める情報量などを考慮して削っていきます。もちろん閃いたものがあったら追加します。
そしてもう一つ僕が意識しているのが、ページ内に一緒に収めたいコマの流れとめくりコマです。
- ページ内に収めておきたいコマは、会話などの流れで変に切れて次のページへ行かなければいけなかったり、勢いを殺したくなかったり、場面チェンジで違和感を感じさせないよう心がけています。
- めくりコマは、できるだけ最後のコマは気になるようなめくりたくなるようなコマを配置するようにしています。この後どうなるの!?というようなコマですね。Web漫画や電子書籍を意識しているので毎ページそういったコマを配置するように気を配っています。
大事なポイント
とにかくその時に思ったことを書いて残しておくことがポイントですね。もっと良いものを思いついたら修正すればいいだけですけど、その時に考えついたものをメモなしで思い出すのは至難です。僕はかなりそういう失敗して落ち込みましたw思い出せないと喉のあたりがモガモガするんですよね。そうならないためにもとにかくメモです。
ネーム作成

ここまできてようやくネームの作成となります。ほとんどミニネームのものを写す作業です。
僕の場合はWeb上で好きに書いている身なのでミニネームで終わりにしちゃってますが、知り合いに見せて感想をもらうのにBORDERLINEを32ページまでネームで描きました。
プロットやミニネームで作り込んでおくとネームの段階でやることはあんまりないです。そもそもミニネームをやる理由は修正が楽にできるという点ですし、ネームで何かやることがあるとすれば構図の変更といったところでしょうか。
下書きと作画
ネームができたらいよいよ原稿に移っていきます。

僕は写真をトレースしたり参考に描いたり、素材を使わせてもらったりしてます。下書きはネームよりもキレイにある程度メインの線がわかるように描いてます。

ペン入れをした結果がこんな感じ。レイヤーは下書き、キャラ清書、背景清書、ベタ、書き文字、ホワイトで分けてます。ところどころ大着してまとめてやったりもしますが・・・w
作画に関しては参考になるほど画力もないですが一応流れとして入れておきました。
で、作画作業を繰り返して漫画の完成です。
描きながらも修正を入れる
僕の場合は、実際にネームが完成してその通りに描くわけじゃないです。コマ割りとか構図とかセリフとか、結構変更します。ネームとかって設計図というイメージからか無闇矢鱈に変更しちゃいけない感じがありますが、その時に良いと感じたものを取り入れるのは良いことかなと思ってます。
ネームと違い原稿に移って描いているともっとこうした方がいいかもみたいに思って修正したりします。この時にやっぱり役立つのがミニネームで、コマを消して他のを描き加えたりしてページを再構成できるため簡単に編集可能。
ネームで考えてた絶対に変更したくない構図以外は、結構テキトーな背景を描いてたりするのでだいぶ違うアングル(一応カメラワークは意識しながら・・)になったりします。その場その場で写真などを参考に場面を選んだり、ネームと全然違う内容になったりは多め。ジョジョの奇妙な冒険の荒木先生は、ネームの構図だけは絶対に変えないそうです。なので、僕みたいのはこだわりないなと思われそうですねw

どうも、ぷ~です。
こうやって漫画を描いている作業を改めて見つめ直すと地味な作業が非常に多いですねw人それぞれなので、参考になる点は少ないかもしれませんが何かのヒントになったりするかもと思ったのと、自分を見つめ直すのに記事を書いてみました。特に作画はアナログとデジタルでだいぶ違ってきますし、作家ごとの絵柄の都合もあったりして、これほど参考にならないものもないのかもしれませんと記事を書いていて思いました。