業界で使われる漫画用語をまとめてみた




漫画の世界ではちょっと聞き慣れない漫画用語なるものが存在する。なんじゃそらというものから、聞いたことはあるなんていうのもあると思うけど、編集者なんかと打ち合わせたり、現場で知らないと困ることもある。なので常識として覚えておいて損はないかと思うのです。

漫画用語集【製作段階】

プロット

一番始めにやる作業のことで、漫画のあらすじや設定などの原案の状態。大雑把なものからセリフまで書き込まれているものなど作者によってそれぞれ。

ネーム

プロットを元にして、コマを割ったり、セリフを入れたり、キャラクターを描いたりする漫画の設計図。

このネームの状態で大体の構造がわからなければいけない。編集さんに見せるのはだいたいネームの状態なので、しっかりと伝わるように描かなければいけないことを念頭に入れておくといいと思う。ただ・・・丁寧に描いて時間をかけすぎるのも禁物なので、相手に伝わる程度にササッと描くのがおすすめ。

コマごとに分けたミニネームなんていうネーム制作前の技もあります。

ラフ

いわゆるスケッチ。主にキャラクターのデザインを考える時に使われます。何度も何度もラフを描いてキャラクターの容姿が決まっていくものです。

漫画用語集【原稿執筆】

下書き

漫画のペン入れをする前の状態で、鉛筆やシャーペンなどで描きます。ペンでなぞれるくらい精密に描いている人から、ざっくりとしたアタリだけでペンを入れてしまう人もいます。バガボンドは制作動画を見たところ後者でビビリました。

アタリ

下書きでも話したアタリだけども、絵全体のバランスというか骨組みみたいなもの。キャラクターだとデッサン人形のような状態。また顔に十字を描く正中線もアタリのひとつ。

ペン入れ

インクのついたつけペンで下書きから仕上げる清書。これぞ漫画制作の醍醐味という作業でしょう。どうでもいい話インクの香りが好き。

ベタ

髪の毛など黒い部分をインクなどで塗りつぶすこと。目印としてバツマーク(×←こんなの)がついているのが一般的。ベタで落としておいてなんて言われたりします。

アシスタント先で指示通りに塗ったのに、先生の間違いで怒られることもある・・・。

ツヤベタ

よく髪の毛などで白い光っている部分があると思いますがアレのことです。光が当たっているところなどを現すのに光沢を表現します。

ベタフラッシュ

通称ベタフラなんて呼ばれていて、密度の高い集中線の周りをベタで落とすこと。心理描写などで使用することが多いかなと。

ホワイト

修正液のことを指し、失敗したところを直します。その他にも仕上げとしてキャラクターの目に光を描いたり、髪の毛のツヤ、ハイライトなど色々な使い方ができます。

白抜き

描き文字やキャラクターなどの周りを白い線を引くことで浮かせること。背景などに埋もれてしまわないようにでき、読者の注目を自然と集めることができます。

描き文字

本当の専門用語だとオトマトペと言うみたいです。描き文字は漫画でよく見る「ドドドド」や「どーん!!」といった効果音。漫画ならではの表現方法だと思います。

トーン

スクリーントーンの略称であるトーン。網点などで密度を利用して色の濃さを表現し、モノクロの漫画で中間色を出すことができます。

最近だと背景のトーンや花がらのトーンなど便利なものが登場している。

アシスタント現場などでは60番などの番号で指示される。

ちなみに、一枚300円以上するためお金のない学生時代は辛い漫画素材。僕がデジタルを勧める要因。

モブ

脇役中の脇役。街中を歩いている歩行者や名も無き村人Aなどなど。アシスタントをしているとモブを頼まれることがあるが、ある程度先生の画風に寄せなければいけない。

ちなみに自分の漫画の主人公があまりにも特徴がないときなどにモブだねと言われることもある。

フキダシ

セリフの入った枠。丸いものが基本で、感情的な表現をするのにトゲトゲした叫びだったり、ふにゃふにゃした落ち込みだったりと様々なタイプがある。その場のキャラクターの顔や心情に合わせて使い分けないと、落ち込んでるけど元気いいなコイツみたいな読者に誤解を与えてしまう。

モノローグ

一言で言えば心の声。通常のフキダシじゃなく雲形だったり、フキダシ自体がなかったりする。

カケアミ

短く均一な線を引き、掛け合わせることで影を作る技法。トーンを使わずに味のある絵の雰囲気を出せるがなかなかの労力。よつばと!や少女漫画なんかを見ると参考になるかもしれない。

点描

神の所業と言ってもいい技法。線ではなく何と”点”で絵を描く。何度もペンでトントンしなければいけないため腱鞘炎まっしぐら。大きなコマで点描を使って演出する時、どれだけの作業量で完成するのかは想像したくない。

あまりに無意識でやりすぎて原稿に穴を開けてしまわないように注意。

集中線

効果線と呼ばれるもので、読者の視線を集めるために中心に向かって放射状に線を描く技法。

注目させたい部分に鉛筆で点を描いて引いていく。中には点がズレないために原稿の裏から画鋲を指し描く人もいる。ちなみに、その後にホワイトで穴を埋める。この中心である点からズレてしまうと違和感が半端ないので注意。

スピード線

集中線と同じ効果線の一種で、縦や横などに並行の線がズラーッと書き込まれているもの。物に躍動感を与えたり、スピード感を出すことができる。

コマ割り

漫画の醍醐味でもあるコマを割ること。結構色々な表現のコマもあるのでご紹介。

決めゴマ

漫画で見せたい部分のコマ。その為、見せゴマなんて言われたりもする。他のコマよりも大きくし、インパクトを与えたい部分で使うのが基本。例えば敵を思いっきりぶん殴って倒すシーンなど。

変形コマ

コマって長方形などの四角が基本だけども、斜めなどに引いて形を崩した特殊なコマ割りのこと。スピード感を与えたり、アクセントをつけたりするのに使われる。

ジョジョの奇妙な冒険第四部とかはすごいことになっていると僕は思う。荒木割りなんて呼ばれてたりして、とにかく特殊なコマ割り。

断ち切り

製本された時に切れてしまうほどはみ出させるコマ。迫力などを出すことができ、何より原稿用紙を広く使える。

しかし、人によっては製本された時に黒い部分がまだらになるため、美意識的に嫌う人もいる。たぶんほとんどの読者がそんなこと気にしたことないだろうけど・・・w

とびら絵

漫画のタイトルや各話の表紙となるページ。基本的に左ページにくる。違ったカットなどが入るため好きな読者も多いと思う。

見開き

漫画を開いた時に、右と左でコマがつながっている表現の方法。めちゃくちゃ大きく原稿用紙を使うことができるため大迫力で描くことができる。

使い方によっては見辛く、コマを追うのに混乱するので注意が必要。それとあまり連発しすぎるとインパクトが薄れるうえに、ページの消費も激しいのでバランスも大事。

漫画用語集【カメラアングル】

アイレベル

コマの中の絵がどれくらいの目線の高さで描かれているかというもの。地平線や水平線と同じ。これを基準にして描かないとパースが狂った絵柄になり不自然になる。

消失点

絵などを描く時に決めるポイント。この消失点をアイレベルの基準線に配置しパースを取っていく。

パース

風景などを立体的に捉える技法。難しい言葉だと透視図法、遠近法なんて呼ばれてる。背景を描くのに必要な補足技術で、消失点から線などを引き立体的で不自然じゃない描画ができる。

ちなみに本当に絵が上手い人は立体的に自然と捉えることができるため、パース技術は不要な場合が多い。自分の目で見ているものこそが正しいのであ~る。

煽り(あおり)

下から見上げたアングルで、例としては見下している顔や女性のセクシーショット、ビルからビルへジャンプする姿を下から描くなどが挙げられる。

俯瞰(ふかん)

上から見下ろしているアングルで、例としてはビルの上から下の歩行者を眺めているような描写とかでしょうか。

アップショット

キャラクターをアップで描くアングル。キャラクターのことを親身に考えさせることができ、感情移入させやすいです。

ロングショット

キャラクターを引きで描くアングル。全体像などを描くことで今どんな状態なのか、キャラクターはどういった位置にいるのかなどの情報を読者に教えることができます。

漫画用語集【ペン】

ペン軸

つけペンを挿すためのもの。Gペンと丸ペンで穴が違うが、どちらも挿せるものも売っている。馴染んだものを手放せなかったりするため、お気に入りが見つかるまで大変だったりする。

ペン先

大きく分けてペン先は5種類ある。

Gペン

漫画のつけペンで最も有名であろうペン先。柔らかく強弱がつけやすい、そして力強い線が描ける。キャラクターのペン入れなどによく使われる。

丸ペン

細い線を描くことができ、ペン先も硬いため強弱がつけにくい。Gペンに次いで使われているであろうペン先。背景や効果線など出番は非常に多い。使い込んで柔らかくなった丸ペンをキャラクターのペン入れで使う人もいる。

スクールペン

硬めで均一な線が描けるのが特徴なので、背景やフキダシなど仕上げに使われることが多い。

カブラペン

Gペンよりも硬くてスクールペンよりも柔らかいため、微妙なメリハリをつけるのが得意。

日本字ペン

Gペンと丸ペンを足して割ったようなペン先で、強弱がつけやすく滑らかな線を描けるのが特徴。キャラクターから背景と幅広く使うことができる。

ミリペン

マーカーの一種で均一な線を引くことができるため、コマ割りの枠線やフキダシなんかに使われることが多い。枠線の場合は0.8が一番オーソドックス。

0.05ミリなんていうめちゃくちゃ細い線が描けるものもあり仕上げにも重宝します。

描き方次第で抜きなどもできるため、効果線やキャラクターも描けたりと実は幅広く使える。

筆ペン

ベタ塗りなどに活躍し、特に筆という特性を活かした抜きで髪の毛のツヤベタで真価を発揮します。

漫画用語集【おまけ】

アシスタント

漫画の先生の元で働き制作をサポートするスタッフ。メインで入っている人だったり、ヘルプという形で誰かの紹介で一日だけ来たりなど勤務形態はバラバラ。毎日帰れるところもあれば、ほぼ帰れず泊まり込みという場所もある。

〆切

漫画の原稿を完成させて納品しなければいけない日。〆切に追われている漫画家の描写をよく見るけど、本当にあんな感じ。遅れると印刷工場などに遅延が出て結構とんでもない損害になるんだとか・・・。

連載スタート時は原稿を前もって3話ほどストックするが、色々あって気づいたら追われている人が多い。

当て紙

手でこすってインクがあああ・・・とならないように手の下に紙を敷くのが当て紙。他にも汗ばんで原稿が痛むのも守ってくれる。

トレース

トレース台で下から光を当て、写真などを元に写し絵をすること。下書きを原稿で透かすことで消しゴム必要がなくなり原稿を痛めることなく完成させるなんてこともできる。

誰が描いてもクセのない絵になるため、大体どこの現場にも置いてあり背景写真を元にトレースさせる場所が多い。

レンダリング

文字の書体デザインや配列などを意味するデザイン用語。

めくりを意識する

めくる前のコマに気になるような事を置いておくことで、読者に自然とページをめくらせることを意識することである。めくりとも言います。

写植

写真植字を略した言い方で、写真の原理を使って原稿に印字する技法のこと。セリフなどはこの方法で入れられている。

ボタ落

まさに悪夢。インクなどが垂れて原稿にシミを残してしまうこと。漫画を描き始めて間もないころはインクのつけすぎでよく起こる。腹八分目じゃないが、つけペンの半分くらいを意識してインクをつけると起きにくくなる。

ちなみに眠い時は何故か突然ボタ落が発生していたりする。

ノンブル

ページ数のことをノンブルと言う。ネームの時にノンブルを割り振ってないと担当さんから指摘されるので忘れないようにしよう。

・・・と、まぁかなり長くなってしまいましたが、よく使われる漫画用語はこんな感じでしょうか。たぶん漫画に触れていたり描いていたりすると自然と覚えていくものなので、「覚えなきゃ!」とあんまり思わず「フ~ン」くらいで流しておくといいかなと思います。

バックボーン

キャラクターの生い立ちのこと。キャラクターの内面が薄い時などに担当さんから指摘される。

ファクター

直訳すると要素という意味。漫画のストーリーにおけるパーツのようなもので、テーマ的なものだったり、キャラクターの特徴だったりする。カッコつけた感じでファクターというと何かプロっぽいのである。

カタルシス

物語全般で最も大事と言われるもの。ストレスを与えるだけ与えて一気に発散させること。例えばボコボコにやられている主人公だったが反撃に出て悪役を倒すとか、野球の試合で9回裏の瀬戸際で逆転ホームランを打つとか、そういったもの。

どうも、ぷ~ちんです。

現場でよく使われたりするので勝手に身についていくものです。




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